春だというのに寒い気温、長雨が続く不思議な宵月の夜のワイン会でした。

今回のテーマ ★バルバレスコ革新派 vs 伝統派

ご提案ワインラインナップです。

FERRARI(フェラーリ)  ROSE(ロゼ)  フェラーリ
ROERO(ロエロ)  ARNEIS(アルネイス)  2008  ブルーノ・ジャコーザ
BARBARESCO(バルバレスコ)  BRIC(ブリック)  BALIN(バリン)  2004  モッカ・ガッタ
BARBARESCO(バルバレスコ)  BRIC(ブリック)  BALIN(バリン)  2000  モッカ・ダッカ
BARBARESCO(バルバレスコ)  BRIC(ブリック)  BALIN(バリン)  1999  モッカ・ダッカ
BARBARESCO(バルバレスコ)  SAINTO(サント)  STEFANO(スティファノ)  DI(ディ)  NEIVE(ネイヴェ)  2005  ブルーノ・ジャコーザ
BARBARESCO(バルバレスコ)  ASILI(アジリ)  2005  ブルーノ・ジャコーザ
GATTINARA(ガッティナーラ)  OSSO(オッソ)  SAN(サン)  GRATO(グラート)  1996  アントニオーロ



イタリアの北に位置するピエモンテ州「バルバレスコ」を中心に北イタリアワインを楽しみました。
少しこの地域を説明致しますと ピエモンテ州は語源となっている通り「ピエ=麓 モンテ=山」という北にそびえるアルプスの山裾に位置します。
そのピエモンテ州でも 南に位置するランゲに有名なバローロ、バルバレスコ地区があり、ランゲから120km北に ガッティナーラ地区があります。
全ての地区で ネッビオーロ種から さくらんぼ、バラの花、タールなど香り豊か 酸度が高く タンニンのしっかりとした底知れない程の深みのあるワインが生まれます。バローロ、バルバレスコ、ガッティナーラの優れたものは並外れて長命であり、熟成で30年以上向上するものも造られています。
今回のラインナップを見ますと 比較的まだ熟成が必要なワインもありますが、現在どのような表現をしてくれるか そして 今後どのように変っていくのかなど 皆様と予想し、楽しい時間を過ごせました。ありがとうございました。
では ワイン達の現在と未来をご報告致します。

まず、アペリティフにイタリアを代表するスパークリングワイン「フランチャコルタ」。
今回はフェラーリ社の 「フランチャコルタ・フェラーリ・ロゼ」を。ベリー系の優しい香りに お花の香が加わり、華やかな味わいです。アフターは切れ味の良い酸味を感じ、辛口で一番手にふさわしく 今後を楽しませてくれるスタートが切れました。

次にサービスしましたのが、「ロエロ・アルネイス 2008
素晴らしい赤ワインを生む ピエモンテ州ですが、素晴らしい白ワインも生まれます。1970年代には絶滅に瀕していたアルネイス種を 現在 ピエモンテ州の代表する白ワインにまで 蘇らせた生産者が ブルーノ・ジャコーザです。
彼の造るロエロ・アルネイスは 華やかで繊細な香りが広がり、とても透明感のある味わいです。今日最も濃厚で力のあるロエロ・アルネイスは模範作であり、心そそられるワインでした。

そして これから 赤ワインに移り、ネッビオーロ劇場です。
初めにバルバレスコについて・・・・・。現在バローロ、バルバレスコ共に 伝統派、革新派、中間派と造り手によって、分けることができます。
これは 何かと言いますと 昔ながら長期間に渡って葡萄の風味と色を抽出し 古い大樽でゆっくり熟成させる伝統派と 短期間で抽出し フランスのブルゴーニュ、ボルドーと同じ小樽で熟成させる革新派です。これらが 味わいにどのように影響するか・・・・・
それは 伝統派で造られるワインは 瓶詰め後も還元的に味わいが開くのに 長居年月が必要になります。長い年月を経た伝統派ワインは この上なく上品で繊細で 力強く とても魅力的な優雅なワインになり 長い年月向上し続けます。
対して 革新派は 早い時期から果実感豊かで 凝縮された味わいになり。とても甘美で濃厚なワインとなります。伝統派よりも早く飲み頃に達します。

では 実際各派を代表する造り手のバルバレスコを・・・・。

まず 革新派の造り手 モッカ・ガッタ。が、造る単一畑「ブリック・バリン」を2004年、2000年、1999年と 3ヴィンテージ頂きました。 2004年は フレッシュで華やかな香りの ベリー系果実が広がり、凝縮された味わいです。
まだ若いのか するどい酸、タンニンがアフターに力強く存在します。
2000年は 1番皆様にもご好評で フレッシュな果実と ドライフルーツなどの果実香が バランスよく広がり、タールなどの香りが加わり 熟成を経て 複雑味が増していました。
酸、タンニンも少し丸く、穏やかな一面を見せてくれ 私たちを惹きつけてくれました。
1999年は2000年の味わいに近く、より穏やかになっており、タンニンもキメ細かく ドライフルーツ、ドライフラワーとより 深みのある味わいです。
どれをとっても 美味しく 素晴らしい姿を見せてくれ 魅力あるバルバレスコでした。

次は伝統派の代表的造り手。いや、イタリアを代表する偉大な造り手、フルーノ・ジャコーザ。
その単一畑のバルバレスコは どれもが素晴らしく 今回は 精密にして濃厚な味わいに威圧される当代最高の 「アジリ2005年」。最も 濃厚で、長命で、ブルーノ・ジャコーザの看板でもある「サント・ステファノ2005年」を味わいました。
10年は熟成が必要とされる彼のバルバレスコを2005年と若いですが 皆様と一緒に開け 楽しみました。
共に 若さは目立ちましたが 滑らかで 力強く そしてとても上品な味わいです。
サント・ステファノは その中でも透明感があり、穏やかで そして 活き活きとした味わいが広がり、重厚な風味が口の中を満たしてくれました。
アジリは 華やかで上品な香りが広がり そして 深く底に沢山の味わいを溜め込んでいる広大で深遠な味わいです。

この2つのブルーノ・ジャコーザを味わいながら これからの年月が過ぎると なんとも言えない感動を与えてくれ、 真の姿を見せてくれるんだろうと思いました。今現在でも そのポテンシャルや 優雅であり 上品な味わいを楽しめる事ができたので とても満足です。
久しぶりに 言葉で表現できない程のワインを味わうことができ、嬉しく思いました。

最後にガッティナーラを代表するアントニオーロの「オッソ・サン・グラート1996年」を。ガッティナーラは バルバレスコよりも北の産地で冷涼な地域であるため 葡萄が完熟するにはとても厳しい産地です。アントニオーロはその中でも常に魅力ある ガッティナーラの真骨頂を見せてくれます。
1996年と熟成を経たヴィンテージですが、果実と酸、タンニンのバランスが良く 複雑で まだまだ力強さが残る味わいでした。
とてもエレガントであり、ネッビオーロの底力を味わうことが出来ました。

そして またまた 今回も番外が3本。
まずは ブルゴーニュ地方のジャノツ・ボスが造る「ヴォルネイ2005」。まだ若々しく フレッシュな果実香と花の香りが漂い、エレガントで旨味を感じる味わいで、熟成された時には 今より更なる複雑な味わいになるでしょう。
2本目は 対象的にブルゴーニュのピノ・ノワールの優雅さが そして上品さを魅せてくれたカミュの造る「ジュヴレ・シャンベルタン1999」 優しい果実味と優しい酸が バランス良く、口の中を満たしてくれ、とても温かく、優しい味わいでした。改めて ブルゴーニュは素晴らしいと思わせてくれました!
次はボルドーの「ch・ジスクール1997年」。1997年と素晴らしいヴィンテージでありますが、ワインの状態が素晴らしく しっかりと感じる果実感。程よいボリューム。そして旨味がバランス良く 心落ち着かせてくれます。
皆様からも「これは素晴らしい!」との声が挙がりました。

今回のワイン会を振り返っても やはり 皆様と一緒に話しながら素晴らしいワイン達と一緒に過ごす時間は優雅な気持ちになりますね。
これも皆様のお蔭です。心より御礼申し上げます。
毎回思いますが 本当に楽しい時間でした。今後も素晴らしい皆様と素晴らしい時間とワインを楽しみたいと思います。