10月というワインが美味しく感じる季節に、今回はコート・デュ・ローヌ地方の南部を代表するシャトーヌフ・デュ・パプを。 この地区の中でも カリスマ的な存在で、魅力溢れるワインを造る エマニュエル・レイノー氏。彼の造るシャトーヌフ・デュ・パプを ヴィンテージ毎に 楽しみました。 まずは シャンパーニュ。 エグリ・ウーリエは、ピノ・ノワールの魔術師と言われるなど、ピノ・ノワール種から この上ないシャンパーニュを造っています。 今回は、彼の造るシャンパーニュの最上2トップです。 Blanc de Noir Grand Cru VV Les Crayeres NV こちらのキュヴェは ピノ・ノワール種100%で造られ、特に優れた葡萄ができる「レ・クレイエール」の区画から。 赤系果実のフレーヴァーと熟成からのコクのある香りを感じ、ボリューム感、深みと共に 素晴らしいバランスで広がっていきます。 抜栓後、すぐに表情豊かで 豊満であり、エレガントさもあり、温かみのある味わいを楽しめました。 Brut Grand Cru Millesime VV 2002 2002年というバランスのとれた素晴らしいヴィンテージのこのシャンパーニュは、抜栓後すぐは 表情が硬く、頑固な印象。 こちらは ピノ・ノワールの他に、シャルドネ30%ブレンドされています。ピノ・ノワールの肉厚とボリューム感をシャルドネの酸が引き締め、非常に上品な 高貴な味わい。赤系ベリーや林檎など 果実味も複雑で、熟成からの深み、穏やかだけど、力強い 2面性を持った味わいで 魅力的です。 2時間後には、表情が明るくなって、気品さのある味わいが、グラスから立ち昇り、口の中でも いつまでも消えない至福の余韻へと続きました。 では、続いて本日のメインでもあるシャトーヌフ・デュ・パプ。 私は個人的にも好むワインで、熟成するとブルゴーニュのピノ・ノワールを思わせ、ローヌ地方独特の スパイスと豊満さに心が包まれます。 シャトーヌフ・デュ・パプの中でも、特に エマニュエル・レイノーが造るワインは、エレガントで より ピノ・ノワールに近い上品さを備えています。 グルナッシュ種を南のピノ・ノワールと呼びますが、本当にそうだなと つくづく感じることができました。 Chateauneuf du Pape Reserve Pignan 2002 このピニャンというキュヴェは シャトー・ラヤスの造る上から2番目のワインです。グルナッシュ100%で造られます。 赤系の果実とスパイスが優しく広がり、とても柔らかみのある香り、味わいです。 チャーミングでいて親しみやすい表情をし、どこか温かみを感じさせてくれます。華やかで上品で まろやかな味わい。2002年らしいかわいらしさが良いですね。 Chateauneuf du Pape Reserve Pignan 2000 赤い黒系果実が豊かで力強く、穏やかで品のある酸とのバランスの良さを感じます。しっかりとスパイスも感じ、2002年よりも 豊かで 複雑味があります。 まだ これからが楽しみなワインですね。 Chateauneuf du Pape Reserve Pignan 1998 赤系よりも黒系ベリーの印象が強く、力強いアルコール感、凝縮感を感じ、エキス分も高いです。こちらは 長熟のポテンシャルを持っていますね。果実の厚み、凝縮性、深みと全てが 豊満で エネルギッシュです。 10〜15年後には言葉にできないほど、偉大なワインへとなるでしょう。 Chateauneuf du Pape Reserve Pignan 1997 赤系ベリーのフレッシュさと ドライフルーツの深みが共有し、複雑です。 ドライフラワー、シャンピニョン、野生味と熟成感があり、様々な表情を感じられます。これぞ、シャトーヌフ・デュ・パプの真骨頂です。 熟成によって得られるこの野性味と、エレガントで品のある果実、酸とのバランス。やはり 熟成ローヌには黙ってしまいます。 次は シャトー・ラヤスのトップ・キュヴェ。 Chateauneuf du Pape Reserve Rouge 1999 香りから絶句です。赤系黒系のベリーにスパイス。野生感も加わり、香りから 力強さ、気品さ、華麗さなど 幾つもの要素が溢れ出ています。まだ少し 硬さは見受けられますが 偉大さが凄いです。 味わいも 複雑で 深く、でも 上品で 優しく包み込んでくれ、何も言えない程 素晴らしかったです。至福です。 笑みが こぼれてしまいます。また いつか このようなワインを楽しみたいものです。 そして皆様から頂いた番外へ・・・・ Chateau Lagrange 2008 黒系果実の豊かな果実味のコンポート、杉などの香り、スパイスも加わり、複雑。CH・ラグランジュらしいまろやかな口当たりで、凝縮感ある果実が 穏やかな酸を包み込みます。2008年らしいエレガントでクラシックな味わいです。 2008年は 個人的に好みです。美味しい! Aloxe corton Les Boutieres 2009 ドメーヌ・デ・クロワ 赤系と黒系ベリーも少し入る凝縮された果実を感じられ、とてもまろやか。華やかさと瑞々しさのある香り、味わいで一体感のあるバランスの良さが 心地良い。 ドメーヌ・デ・クロワのワインは、いつ飲んでも優しく、柔らかな旨味を楽しめます。 Meursault 1997 アルノー・アント 洋ナシや林檎などこのコンポート。ドライフルーツや蜜のようなコクのある熟成味が、出てきています。ナッツなどや 白いスパイスも感じられ、丸みの帯びたミネラルと複雑性もあり、美味しい。熟しても とても透明感のあるのは アルノー・アントの実力でしょう。 Chassage Montrachet 1er Verges 2005 ドメーヌ・ラモネ 生き生きとした洋ナシや林檎などの 果実香とミネラル香が広がり 果実の厚みとボリューム感が凄い。まだ 閉じ気味ですが、今後を期待させるポテンシャルを感じとれます。今回は終始表情が出てこなかったので 少し残念でした。 今日は皆様と一緒に沢山の素晴らしいワインに出会えて嬉しく思っています。また このように皆様と話しながら、ワインを飲み、料理を食べるというのは、最高ですね。また 最高のひとときを皆様と過ごしたいと思います。ありがとうございました。
2012年10月 小泉真人
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